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美術⑥ 六本木クロッシング2019展

美術⑥ 六本木クロッシング2019展

 

繋がりがテーマの展示でした。

社会を観察すること、テクノロジーを使うこと、を繋げてみる、

本来の繋がりをテクノロジーを使って可視化して繋げてみること

ということで、いろいろなデジタルを扱った近代アートが勢ぞろいだったのですが、私は近代アートってあまり見たことないので新鮮でした。

テクノロジーが起こすアナログとの分断をどうアナログに迫るように繋がりを発明していくか、その試み、

今回はお気に入りTOP3という展開で書きます。(作品名を忘れたので特徴しか書いていません)

 

1位 動いているように見える波。 「目」?

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ゴムのように見える黒い素材で動いている波の一瞬を切りとって形にした作品。

これに波の音だけがつく。

視覚と聴覚だけを切り取った作品で、何を見ている側が感じるかほかの五感を感じやすくなる面白い実験に感じた。

 

じーっと見ていると静止している波の形が、動いているように見えてくる。

看護大学の授業で人の視覚は記憶を通して物を見ていると習ったことがあるが、まさに私の目の前でこの波が動いているように見え始めると、『なるほど、これが記憶の影響で見えるという視覚の部分か』と納得した。

一部だけの五感を切り取ることに卓越した作品だからこその体験、これは医療者としては興味深かった。

人は記憶に視覚を左右されて、情報を知らず左右されている時があるのかもしれない。

 

 

2位 ひたすら路地の割れ目に砂?セメントを付けて、修復していく動画の作品。

なるほど、見ていると直すという行為でその道と作者の関わりが気づかれていくのを感じる、まさしく“つながり”という意味ではわかりやすいと思った(星の王子様のキツネの話みたい)

そう思っていたところにこれを一緒に見ていた友人が「ずるい」と言い、「こういうのは見ちゃうよね」といっていた。「これは情報提供だね」と。

確かに主題がわかりやすい作品だと感じていたが、確かにこれはデジタルを使用した情報提供がスムーズな作品だから、主題の理解がしやすかっただけで、これが「アートです」と言われると、難しい。

確かにこれは『アート』というよりは『情報提供』『エンターテイメント』だと感じた。

そこではっとしたのがデジタルを使った近代アートは私の中では、アートというよりは『情報提供』『エンターテイメント』に感じて、『アート』はもっと自分の中で別枠(アナログの世界)にあると感じたが、いったいその感性はどこからきているのか気になった。

 

3位 人の一部の画像とその人たちの生活音を流す作品

これも五感にアプローチする作品だ。ほとんど音だけの作品。そこの説明に「日々の生活音も人を作る」といったようなことが書いてあって、医療者としてはやはり興味深かった。

確かに聴覚だけ切り取られると、例えば工場で働いている人の聞いている音と、女性だけの職場で聴いている音一つとっても全然違う。この音の差に確かに聴覚も人格形成の一部として大きく影響しているかもしれない、と一つ一つの五感に対して意識が強くなるのを感じた。

この作品を見た後数日は生活音に敏感になり、聞いていた影響の受け方も面白かった。

 
総合●

主題のつながり、私の中ではデジタルって情報提供なんだなと今回の展示に関しては感想が至ったけど、これからデジタルにしかできない『繋がり』が幾多のアーティストたちに“再獲得”されていけばまるでアナログのように痛烈な触感のある作品も生まれていくのかな。

テクノロジーが起こすアナログとの分断をどうアーティストたちがこれから闘志を繰り拡げて行くのか、近代アートのまた見る面白い視点の一つかもしれない、と感じた